お米プロジェクト

全ての生き物と共生する田んぼを『田庭ひびき家』/福井県若狭町

福井県若狭町の「田からmono田んぼの」保志公平さん

福井県の若狭湾にもほど近い山間にある保志さんの田んぼは、海の風と山の緑の息吹が重なって、陽の光が燦々と降り注ぐ広大な敷地です。

何種類もの鳥たちや、たくさんの数えきれない虫たちものんびりと遊んでいて、保志さんが環境に配慮した農業を営む様になってから、田んぼには平家ホタルが再び命の灯りを点すようになったそうです。

美しき山と川を臨む和やかな里山の景色は、「生物との共生」により積み上げられたもの。
日々淡々と繰返される生物たちの営みの上に出来た大地と共に、生き生きと生きているお米が作られています。

保志さんが農業と出会うまでのストーリー

大学卒業後、営業マンとして6年ほど働いていた保志さんは、会社組織の中の矛盾や理不尽さに氣づき、目を瞑って思考を止めていないと過ごせない毎日に、嫌氣がさし始めていました。
そこから、保志さんの探究が始まりました。

人生の、人間の、生きることへの。

会社を退職するかどうかは、まだ決めていなかったのですが、会社に行くと勝手にもう一人の自分の声が「辞めます」と発していたそう。

「あーーあ、言うてもうてる」
・・と、自分でも驚いたそうです。

退職後、暫くはフラフラとし、カナダへ半年オーロラを見にいくために旅に出かけました。そして、見知らぬ土地の人と出会い、泊めてもらったりしながら大自然の中での経験をしました。

宿泊した家の子供達が見せてくれた写真集に魅せられて、こんな素晴らしい写真を撮られる方がいるのだと思いました。後にその方が写真家の星野道夫さんということを知り、帰国後、星野さんの著書を読み、多大な感銘を受けました。その中でも、

「お前は一体どこで生きていくのかと自分で自分に問い、根なし草のように旅行者であることに疲れと物足りなさを感じていた」

・・・という星野道夫さんの言葉が心に引っかかり、保志さんの中でその言葉が時間をかけて心に沁みていきました。そして一つのところに身を置くことを模索し始めたのです。

導かれるように流れていく

保志さんは農業には全く興味がなかったのですが、その時は彼女(後に結婚)の方が農業に興味があり、ファーマーズフェアに連れ立って行くことになりました。

都道府県ごとに分かれたブースで、行きたいなぁ、と思った県に話を聞くも、説明者からは

「貯金は幾らあるん?」
「農業するには、これとこれとこれがいるから、最低でもこのくらいのお金は要るね」

と、お金お金の話のオンパレード。

「農業やるにもそんなにお金がいるんかー」と、落ち込みつつなぜか悶々とした氣分になったそうです。いくつかの都道府県をまわったものの、人氣がありすぎるところや、金銭面で難しいなど、ピンとくるところが見つからずでした。

諦めて帰ろうと思い、出口に向かって歩いていたのですが、出口付近に人氣のないブースが目に入りました。そのブースが、保志さんが暮らすことになる福井県若狭町でした。
何よりゆっくりと話せ、お金のことが一切話に上がらず、そのことが保志さんの心に残りこの土地への移住の決め手となりました。行き先が決まり、流れにのるように次々と事が運び、

「あ〜〜、これはやれって言われてるな〜」

と、導かれるように初めての農業生活がスタートしました。

最初は『かみなか農楽舎』で研究生として学びながらの移住生活でした。
古民家も、田畑も貸していただけることになったものの、食べていけるまでには年月がかかりました。奥様と共に助け合って、新たに自然耕塾での学びを受け、「不耕起移植栽培」、や「冬期湛水」を実践していきました。不耕起栽培の技術を独自にアレンジし、工夫の末、「無除草(田んぼに生えた草を取らない)」というやり方に行き着き、「無農薬、無化学肥料、自家採種」での栽培を手がけるようになり現在に至ります。

助けてくださる方や応援してくださる方が多く、5年やってみて無理なら諦めて帰ろうと思っていたのが、嬉しい誤算となり、地域の方たちの優しさや応援がいつもあり、保志さんのパワーとなり続けて行く原動力となったそうです。

自然との暮らしの中では自己との向き合いの連続で、「無除草」でのお米作りは最小の力で生物との共存という良い面ばかりだが、人間というものは逆に手を出さないということ(草を取ったり、整えたりしないこと)が難しいと思ったこともあるとのこと。それでも5年ほどの計画で試しながらその場所を広げていきました。

自分の魂が磨かれれば出来上がるお米も良くなっていく。

お米を作って行くうちに、そう氣づきはじめた保志さん。
全ては自分の心とリンクしていて、どれほど楽しんでお米を作ることができるか、いかに生物たちがのびのびと過ごしていられるかが、美味しいお米へと繋がっていく。

保志さんは、
「今は、あらゆる微生物が神様だと思っている」
とおっしゃいます。

自然相手の仕事に就き、見えるものだけでは説明のつかないことを、さまざまな宗教観や、霊性、それらに関する科学的観点から保志さんは自分自身に落とし込んで深めていったのではないかと私は思います。

農業と呼ばれるものにも、ひとり一人の想いや実践法が個人の数だけあり、何もかもを一括りにはできません。保志さんは、そういった部分も、全てにジャッジはせず受け入れ生きておられる姿が印象的です。

それら全てが保志さんの作り出すお米に立ち現れて、食べた私たちの身体の一部となる。

それは本当に、想像しただけで何よりも豊かで幸福で慈悲深く、食べることというのはそういう行為であり、言ってしまえば保志さんを食べていると言っても過言ではないとさえ思ってしまいます。

最初に私たちが質問した、「なぜその農法なんですか?」という問いに、

「農法を語るのは苦手なんです」
と、保志さんは応えました。
私はその言葉を聞き、思いました。

様々な農法を実践して、失敗し成功し、こうじゃないか、あれかな、あの人に聞いてみよう、この人のやり方を挑戦してみようと挑戦し、人と話し、自然の声を聞き、自分という身体を使い声に耳を澄ます……。

農という生業に身を捧げた保志さんは、振り切れるほどに経験したんじゃないか?ときっと、拘って拘り抜いて体験されて20年経った今がここなんじゃないかということが、あまり多くを語らない保志さんの佇まいから感じられました。

大きな農機具も中古品で購入し自ら手を入れて蘇らせ、古い小屋も直しながら「自分が生きてるうちは潰れへんやろ」と、大切に手を加え使います。

冬場には餅つきツアーで、奥様と二人で各地を回り、臼と杵と人の手でつく米の美味しさと楽しさを伝えていらっしゃいます。

お醤油作りも、お米づくりがひと段落したと同時に、小麦を作っている仲間や、麹を作っている奥様と始められます。
保志さんが醤油も作れることに驚いた私は、ぜひイベントに参加したいと楽しみにしております!

訪問させていただいた時、最後に
「ひとり一人がお米を作ったら僕の仕事がなくなる、そうなったら良いな〜」
と言っておられました。

保志さんは、みんなが何らかの農作業をお手伝いすることで、「個々の微生物が混じり合う」。そんなお米を作っていきたいのではないでしょうか。

「少しでも田んぼに来てくれたら本当に嬉しい!」

と、優しい顔で気負いなく仰っていて、けれども言葉の一言一句は嘘のない強さを感じました。
微生物は保志さんにとって神様だと言う一言が、保志さんのお米作り、しいては保志さんの人生の大きさを語っていて、とても印象的でした。

↑保志さんが作ってくれた曼荼羅写真は、面白い生き物や、美しい自然への想いがいっぱい!!↑

保志さんにとっては、生き物がいっぱいの田んぼは「宝物」の様に感じられるのだと思います。
何もかも、人間都合で、生き物を排除した農業とは全く違うお米づくりが、ここにはあります。

しかし、それを偉ぶるわけでもなく、慣行農業(農薬や化学肥料を使う農業)を否定するわけでもなく、ただ、淡々とご自身がやりたいお米づくりをやっていたら、生き物がいっぱいの「宝物」田んぼに行き着いたのだと思います。

すべてが、楽しそうに自由に生きている軽やかな姿!

何も心配することはなく、自然と自分の命があれば何も不自由なことはなく、身体は動き手は働く。豊かさとは自分の手で作り出せると言うことを知っている。そういうことを指すのだと全身で語ってくださいました!!

そんな、保志さんのお米を味わっていただければと思っています。

(文章監修:仲谷史子/ライター:うめのときさおり)

■農家さんについて
・・・・【 田からmono田んぼのお米 】・・・・
18年前(令和5年現在)より冬期湛水・無農薬・無化学肥料開始し8年前より完全無除草(田植え後除草機・除草剤も不使用)・脱中干しへ移行し生きもの豊かな田んぼのお米。
品種:コシヒカリ・イセヒカリ・カグラモチ
生産者/田庭ひびき家 保志公平
〒919-1501
福井県三方上中郡若狭町海士坂10-17-2
090-6203-8636

■商品について
・籾摺り時、出荷調整時に2度色彩選別機にて整粒調整しております。
・5kgずつ脱気パックして発送します。脱気完了確認後出荷するのですが、輸送時にビニールが微細な穴が開き空気が混入する場合があります。その時は空気の混入してしまった米袋からお召し上がりください。お米自体が悪くなるわけではございませんのでご了承ください。
・在庫が無くなり次第その年度分の販売を終了とさせていただきます。

■返品・交換について
不良品以外のお客様のご都合によるご返品・交換は出来ませんのでご了承ください。
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